リンク置き場

ガロア群の計算法

 具体的な方程式を与えられたときに最小分解体のガロア群をどう計算するか。多くの書籍やサイトでは「個別に対処するしかない」というような記述とちょっとした例で済ませられています。
 世の中にはディオファントス方程式の解の存在(係数を入力して、解が存在するとき1、しないとき0を返す関数)のように、そもそもアルゴリズムの非存在 が証明されているものすらあるのが数学の世界。“原理的にはガロア群の構造が計算できるのか?”という問題意識も踏まえて解説された文章をようやく見つけ ました。
 専門家の間では常識なのかもしれませんが、重要なことの(ように思える)割に知られていない(ように思える)のでここにリンクを作らせていただきました。

外接多角形の周の長さ

 円周の長さは外接多角形の周長よりも短い。何の根拠があってかは知りませんが小学校でそんなことを暗に言わます。そして外接正方形を描いて見せられ、3<π<4だと説明されるのですが、外接多角形の方が長いという主張は、数学的にも直観的にも明らかなことではないと個人的には思います。明らかではないと思うと同時に“なんか正しそうだ”という感覚もありましたが、どういう根拠に基づいているのかが私の中ではずっと不明でした。
 この論文の前半部にて「2本の凸単純閉曲線に対して、一方が他方を内部に含むとき、外側の方が必ず長いこと」がそれなりにきちんとした証明付きで紹介されています。(折れ線の長さの極限で曲線の長さを定義するなら多角形の場合に帰着されるわけで、見てみると証明はとても簡単です。)インコースの方が短くなるのは凸性が根拠になってたのか。と、長年の疑問に大変すっきりした解答を与えてくれました。

重複円順列の数え上げ

 名前の通りです。1,2,3,...,nというn色の球をそれぞれa1,a2,a3,...,an個使って円形に並べる方法は、同じ色の球を区別せず、かつ回転して移り合う並べ方は同じとみなすなら何通りあるか。高校の「場合の数」の単元で、特定の1色の球が1個しかない場合には多項係数により表示されることが扱われますが、全て複数ある場合も含めて、それなりに簡潔な公式を導いています。
 書き方が難しいですが、本質的には高校レベルでも解読できる内容で、要は配置の周期によって場合分けして数え上げているだけです。
 この話題は正直なところ、邪道数学にふさわしいのか微妙なラインです。
(蛇足になるので折りたたんでます。クリックしてください。)

公理的集合の圏

 集合の圏Setについての一階述語論理で述べた公理について考察したショートペーパー。
 数学の基礎となる枠組みとして最も有名なのはZFC集合論だと思います。ZFCは所属関係∈についての基本的性質をまとめた公理系です。この論文ではそれとは異なり、集合の圏という特殊な圏がみたす論理式をまとめて公理とし、そこで数学を展開するとどうなるか、について基本的な事実をまとめたものです。
 公理的集合論をちょっとかじった人であれば、自然数と関数と集合を要素に持つ集合が考察の範囲に入ってくるなど、ZFCは(公理論以前の)素朴な集合のイメージを正確に反映していないという印象を持つ人が多いでしょう。そういう違和感を解消できるというのが最大のメリット。
 もちろん、どちらの公理でも「全ての数学を展開できる」ので、本質的な違いはありません。そういう意味では、改めて別の公理系を勉強する意義は、数学基礎論的には全くないのですが。
 ちなみに解説というほど詳しくはなくても、公理の明記+多少のコメント程度が書かれた本が最近いくつか出版されたようです。
 圏と加群(朝倉) 指数関数物語(日本評論社) ベーシック圏論(丸善)

連続体仮説の独立性 その先へ

 以前から探していた、連続体仮説の独立性証明の先に広がる、可算濃度と連続体濃度の間の話の記事を見つけました。
 この手の解説はとにかく専門的になりがちなのですが、すべてが理解できなくてもその先に広がる雰囲気が感じられる素晴らしい記事だと思ったのでここにリンクを作成します。
 連続体仮説の独立性証明そのものを見ることによって、連続体仮説がまだまだ未解決だなと感じられる文献は今後も探し続けます。ご存知の方がいらっしゃったらご連絡ください。

大学受験にグレブナー基底を

 パラメータの消去とか、高校数学(特に受験中級〜上級レベル)では結構な頻度で現れる題材ですが、変数消去の手続きを系統的に考えるとどうなるだろう。
 グレブナー基底はそんな疑問に答える道具ですが、大学の数学科に行ったとしてもすぐに教わるようなものでもありません。
 グレブナー基底が使える高校数学を網羅的に洗い出された文章なのかは(私には)わかりませんが、三角関数、極値問題……かなりいろんな話題が紹介されています。
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