問題置き場
定義・定理・証明。論理的には明確でも、納得できないものってありませんか? なんでこんな定理が成り立つの? この定義でなんでこんなおもしろい世界が広がるんだろう? 確かに証明になってるけど、からくりがいまいちわからない……。
何を表しているのかはよくわからないけどなぜか重要なこと、特に定義には多いように思います。
重要であるからにはちゃんと意味のあるものであって欲しい。そんな願望を叶えてくれるような意味づけを探しています。
記事が多くなってきたので本文を折りたたみました。
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群は「ある数学的対象の自己同型の全体のなす集合に合成という2項演算を導入した体系として現れる代数系」だという特徴付けが得られました(
こちらの記事です)。では他の代数系の族の場合にはどうなのでしょう?
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ホモロジー群は位相空間のどういう量を表しているのでしょうか?
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リーマン積分にルベーグ積分。有名なものはその二つでしょうが、他にも
ヘンストック・クルツヴァイル積分なんてものもあるそうです。いずれもそれぞれに納得いくものではありますが、なんで(同じことをしようとして)異なる定義が出てくるのでしょう。何か“積分がみたすべき性質”みたいなものをいくつか列挙して、それをみたすものが唯一つに定まる、みたいな主張を示すことはできないのでしょうか。
(多分
こちらの記事の「ダニエルの公理系」をみたす定義域の最大化問題のようなことだと思います。最大のものが決定されているのか、そういうものは存在しないことが示されているのか、どちらかの形ですでに知られているとは思うのですが。)
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正規分布の重要性を保証する数学的主張は中心極限定理です。中心極限定理として最も典型的な主張は「一つ一つは小さな値をとる平均0の多数の“独立な”確率変数の和が正規分布に収束する」というものでしょう。制御不能な小さな誤差が寄り集まっているため、正規分布っぽい振る舞いをするのだと考えられる現象が現実に数多くある、だから正規分布は重要である。そう考えられているのだと思います。が! 現実に現れる誤差って、一つ一つの要因が独立していることはごく稀なのではないでしょうか。より現実に則した仮定の下で正規分布に収束することを主張する定理を求めています。
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ザイフェルト・ファンカンペンの定理。
共通部分が弧状連結になる2つの開集合で覆われた位相空間の基本群は、2つの開集合の基本群の融合積になる、というあれです。
でもいざ“具体例”に適用する段階になると、「空間を覆う2つの集合が開であるということは重要じゃなくて、共通部分が(弧状)連結であることだけ気をつけましょう」というようなことを、少なくとも学部レベルの講義とかではよく言われます。
位相空間論(位相の公理をみたすものを全てフォーカスに入れた学問領域)と位相幾何学(ユークリッド空間的な条件をみたす位相空間のみにフォーカスを当てた学問領域)では扱う空間の位相構造の間には大きなギャップがあるでしょう。“具体例”として意識されるのは後者だと思います。
位相幾何学的な空間のみに制限すれば開集合であるという仮定を除いた主張が得られるのではないかと思います。多分そんなに難しい話ではないと思うのですがきちんとした記述を見たことがなく、また自分で考えるにしても、“位相幾何学的な空間”の定義の想像が全く付かず、どう取り組めばよいのかわかりません。情報や、議論に付き合っていただける方を募集しております。
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行列の固有多項式の最高次より1次低い項の係数。固有多項式の係数で名前が付いているのは(私の知る範囲では)トレースを除けば定数項の行列式くらいです。行列式の方は(正方行列を線型変換と同一視すれば)体積拡大率というわかりやすい意味があるのに対し、トレースの方はよくわかりません。なのになぜあんなに重要なのでしょうか。
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理論寄りの計算理論に関する文献では、十中八九計算機のモデルを導入して、それをもとに計算量の定義が与えられます。計算モデルによって計算量の定義は見かけ上変わってしまうわけですが、それらが本質的に同値であることは自明でないどころか、あまり正しそうに見えないことが多いような気がします。それだけならまだしも、実際的な場面を想定した文献で書かれている、具体的な関数の計算量の評価法(“素朴に”計算回数を数えるということ)は、理論を解説した本で現れるどの定義とも微妙に違うのではないか、という気がしてくるほどです。
特に素朴なアルゴリズムを構成すると実質的な“計算”の合間で行うデータの探索に必要な時間がボトルネックとなるような計算モデルが多いように思います。
きちんと学習すればそれらの疑問は全くの勘違いであることがわかるのかもしれません。ですがいずれにしても種々の計算モデルの間の関係を計算量の観点から理論的にきちんと確認してある本が少なく、とても学びにくいのが現在の状況のように思います。
そういうもやもやに答える書籍を探しています。
また、(量子コンピュータなどを除外した“記号操作をするコンピュータ”に制限するくらいのフォーカスで、)ある程度異なる計算モデル間の相互関係などを、包括的に、見通しよく理解できる理論はないのでしょうか。
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可微分多様体の定義に位相空間としてハウスドルフ的であること、という条件が含まれています。いろんな人にその動機を尋ねてみましたが、「微分方程式の解の一意性定理とかが成り立って欲しいから」とか、「測地線の一意性が保証されなくなるから」というような、「○○のための十分条件」という答えにしか今のところ出会っていません。多様体を考える動機に関連する性質の、必要十分条件としてハウスドルフ性を位置づけることはできないのでしょうか。
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上記のザイフェルト・ファンカンペンの定理とも絡む話ですが、“現実の物理的空間”のモデルとして実数に標準的な位相を入れた位相空間の直積を採用するのが一般的です。
弧状連結とか位相多様体のような概念が位相の名の下に研究されていますが、位相空間の全体像に何らかの意味で迫るものなのでしょうか。
むしろ本当は逆で、数直線の構造を抽象化(情報の一部のみを取り出すこと)および一般化(条件を緩めること)することで位相空間の定義にたどり着いた、というのが正しいでしょうが(実際の歴史と一致するのかはわかりません)、あえて斜に構えて、位相空間全体における数直線の位相的な特徴づけを求めています。
(この疑問は、弧状連結性のような実数のなす位相空間に絡む概念を(位相多様体ならまだしも)“全ての”位相空間に対して定義する意義がいまいち見えない。気持ち悪いのでなんとかしたい、というしょうもない感覚に基づいています。)
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全測度が1の完全加法測度。最も普及している確率の定義です。確率論のプロパーの研究者たちにとっては必ずしもその定義は絶対的なものではなく、確率という曖昧なものの表現の一つに過ぎない、みたいな位置付けのようです。
ランダムに与えられる自然数がpで割り切れる確率は1/p、みたいな上記の定義の意味での確率の枠組みに収まりませんが、おそらく多くの人が持つ確率のイメージはそういうものも含んでいると思います。
そういう話も全て含むような確率の概念は得られないのでしょうか。(もしくは確率という名で呼ばれるものの分類みたいな話も気になりますね。それは数学というよりも哲学の領域かとは思いますが。)
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ζ(2)=π^2/6、オイラーが発見したとされる式です。現代の立場からは、当時の人たちは種々の公式を証明したのではなく、予想したというのが適切である。そんな言明を見聞きすることがあります。その言葉の意図自体は決して間違っていないとは思うのですが、しかるべき枠組み(メタ理論)を構築すれば、その枠組みに照らし合わせて昔の文献にある、ほとんどの記述が証明として正しいことがわかるのではないか、そう思うのは的外れな妄想でしょうか。
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基本群が自明な3次元コンパクト位相多様体は3次元球面に限る。
よく知られたポアンカレ予想の主張です。基本群がどの程度に位相構造の情報を持っているのかを理解するのはとても難しいことですが、それでも位相幾何学をかじれば空間の構造の何か小さくないものを基本群が反映しているのは感じられると思います。
ですが、ポアンカレ予想の主張をどのように使えばどんなことがわかるのか、その話はあまり聞きません。主張の有名度に比べて、ちょっとギャップがありすぎるくらいに。
興味を持った人が、あの主張がなぜ重要なのか、その理由をきちんと学べる文献を探しています。
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